中小企業の5割以上が後継者不在、経営者の年齢が上がるほど事業承継への対応が急務

株式会社東京商工リサーチは2019年11月、本年の「後継者不在率」に関する調査の結果を発表した。2017年以降に後継者関連の情報が蓄積されていた企業データ約19万社を同社のデータベースより無作為に抽出し分析、現在の事業実態が確認できた企業のうち後継者が決定していない企業の割合を示したものだ。本調査により、全国の中小企業が悩む後継者難の実態が明らかになった。

労働集約型産業を中心に後継者不在率が50%を超える

産業別に後継者不在率を見ると、全産業のうち最も低かったのは「製造業」の48.3%だった。「農・林・漁・鉱業」でも48.9%となっていた。不在率50%を切ったのはこの2産業のみで半数以上は後継者がいたことが分かった。一方、最も高かったのは「情報通信業」で74.1%だった。業歴が浅く、代表年齢が比較的若いことから、後継者についてまだ考える段階にないことが推測できる。


また、人手不足が課題となっている業種では「小売業」が59.3%、「建設業」が54.9%、「運輸業」が52.2%となり、労働集約型産業を中心に高い値を示した。「後継者不在率」の全産業平均は全体で55.6%に上り、国内の過半数の企業で後継者が決まっていないことが明らかになった。



中長期的な承継希望は「未定・検討中」が過半数超

次に、「後継者不在」の10万5,942社を対象に承継希望について聞くと、「未定・検討中」が5万8,772社にのぼった。構成比では55.4%となり過半数を超えていた。まだ事業承継への方針が明確でなく、計画まで進んでいない企業が多いようだ。また、「会社を売却・譲渡」と回答した企業は215社(0.2%)、「外部からの人材招聘と資本受入」は145社(0.1%)とごく僅かだった。事業承継の相手が経営者の親族や、自社の従業員以外の場合、経営や資本受け入れ(売却)への抵抗感が根強くある様子が伺える。


経営者の年齢が上がるほど事業承継への対応が急務

「後継者不在」の対象企業を現在の代表の年代別で見てみると、「30歳未満」が92.9%と最も高く、次いで「30代」で88.5%、「40代」で80.9%となった。経営者の年齢が低い場合、事業継承や創業から日が浅く、まだ後継者選定の必要がないことが推測できる。一方、「70代」で29.3%、「80歳以上」でも23.8%に上る結果も出ている。経営者の高齢化が進むほど事業伝承にかけられる期間も短いため、後継者難に対し早急な対応を求められる企業が多いことが見て取れる。




承継準備が不十分な場合、後継者を選びや本人・周囲の了解を得るまでに3年以上の期間を要すると言われている。経営者の年齢が上がるほどその猶予が短くなることもあり、早急に対応策を考える必要があるだろう。事業継承が困難になれば、従業員が予期せぬ形で勤務先を失うと同時に、老舗企業であるほど経済全体に悪影響を及ぼす可能性も考えられる。日本の強みである中小企業の技術力を引き継ぐ「事業承継」の在り方とともに、自社事業を長く継続させる方法を考える必要がありそうだ。


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