障がい者雇用は約6割が実施、採用を検討していない企業も多い

昨年4月、障がい者雇用促進法が改正され、障がい者の法定雇用率の引き上げや、精神障がい者も雇用対象にすることなどが新たに規定されました。近年企業では、CSR(社会的責任)への関心が高まる中、障がい者を積極的に雇用する企業も増えています。では実際に企業において、障がい者はどのくらい雇用されているのでしょうか。また、現在雇用していない企業のうち、今後雇用する予定があるのはどのくらいの割合でしょうか。PRO-Qユーザーの皆様に、所属している企業の取り組みについて尋ねるアンケート調査を2018年10月23日~11月23日までの期間で実施しました。


障がい者を雇用しているのは約6割、従業員数が多い企業ほど雇用に積極的


最初に、障がい者を雇用しているという回答はどのくらいなのか見てみましょう。『障がい者を雇用していますか?』という質問に対して、「している」との回答は全体で58%でした。PRO-Q会員の企業では過半数以上で障がい者雇用をすでに進めていたことが判明しました。メーカーと非メーカーとを比較してみると、どちらにおいても従業員数300名未満の企業では「したことがない」が5割以上となっているのに対して、300名以上の企業では、「している」と8割以上が回答していました。2018年4月の障がい者雇用促進法改正で、それまでの、50人に一人から、45.5人に一人と引き上げられたこともあり、従業員数の多い企業ほど、障がい者雇用に前向きに取り組んでいる様子がうかがえます。


障がい者の雇用は「事務」「軽作業」が中心、「医療・福祉」で活躍する方も多い


次に、障がい者が雇用されている職種について見ていきましょう。上記設問で「している」または「していたが今はしていない」と答えた方に、『どのような職種で雇用しましたか?』と質問し、選択肢から当てはまる回答を複数選んでもらいました。トップは「事務」の60%で、以下「軽作業」の52%、「製造」と「ITエンジニア」の12%と続いています。「事務」と「軽作業」が他の職種よりも群を抜いて高い割合となっており、雇用される障がい者の多くがこの2つの職種で雇われていることがわかります。ただ、非メーカーの従業員数300~1000名未満の企業では、「医療・福祉」が40%を占め、「軽作業」の次に高い割合となりました。医療・福祉分野で活躍する障がい者の方が少なからずいることが、調査結果から読み取れます。


障がい者の雇用をしていない企業の約7割が、採用について“検討していない”


現在、障がい者の雇用をしていない企業は、今後雇い入れる予定はあるのでしょうか。設問1で障がい者の雇用を「したことがない」と答えた方に、『採用を検討していますか?』と尋ねたところ、全体の69%が「検討していない」と回答し、「検討している」は23%にとどまっていました。現時点で障がい者の雇用を行っていない企業の約7割が「検討していない」と答えており、方針として雇用しないことを決めている企業が多いことがわかります。ただ、従業員数1000名以上の非メーカーでは、「検討している」が50%を占めもっとも多いです。全体としてみても、メーカー(10%)よりも非メーカー(31%)の方が「検討している」の回答割合が高く、非メーカーの方が障がい者雇用に前向きなのかもしれません。


本アンケートでは、『障がい者採用について、課題や懸念点、成功事例などがあれば、自由にお書きください』として、自由にご回答してもらいました。以下にその内容の一部を抜粋して紹介します。


【課題や懸念点】

  • 適切に対応できる人でないと難しい。職場で採用すると、責任の押し付け合いがあるので、結局自分が担当になってしまう。障がい者採用に限ったことではないが、採用した場合、どのような課題、問題点があるのか、その対策も十分講じてからにしてほしい。何も決めないままでは、お互いに負担だけがかかる。(従業員数:300名未満、マスコミ・コンサル)
  • 課題・懸念事項は業務遂行を継続できるか。成功事例は以前スキルがある程度高いプログラマーを雇用したが多少のサポートは必要なものの何とか3年以上は働いてもらった。退職は病気の再発であり、会社としては継続してほしかった。(従業員数:300名未満、マスコミ・コンサル)
  • 製造業であり、重筋職場が多いため雇用に苦慮しています。また、トイレや階段など未整備部分が多いために不自由なく利用できる就業環境を整える必要があります。(従業員数:300~1000名未満、メーカー)
  • 本人がどれだけ働けるかという問題と、周りがどう受け入れるかが問題で、特に後者の方が課題は大きかったりする。(従業員数:1000名以上、メーカー)


【成功事例】

  • 課題・懸念事項は業務遂行を継続できるか。成功事例は以前スキルがある程度高いプログラマーを雇用したが多少のサポートは必要なものの何とか3年以上は働いてもらった。退職は病気の再発であり、会社としては継続してほしかった。(従業員数:300名未満、マスコミ・コンサル)
  • 複数人で採用すると、円滑に進む。(従業員数:300名~1000名未満、商社・流通)


【障がい者の採用について】

  • 障がい者であっても、優秀な方は大勢いる。積極的に採用すべきと思う。(従業員数:1000名以上、サービス)
  • 製造現場では、事故が一番の不安材料であり、障がい者には不向き。(従業員数:300名~300名未満、メーカー)


【調査概要】 アンケート名称:障害者雇用についてのアンケート
調査主体:PRO-Q編集部(ProFuture株式会社)
調査期間:2018年10月23日~11月23日
調査媒体:アンケートメディア 経営PRO-Q

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