AI導入の実態と推進のための課題とは?日本企業でどの程度進んでいるのか
2割以上がAIを「導入済」、約3割が「3年以内に導入予定」
グローバルでデジタル化が進展する昨今、AI導入状況について、企業はどのような意識をもっているのだろうか。はじめに「勤務先でのAIの導入状況」尋ねた。すると、25.6%が「すでに導入している」と回答。また、「3年以内に導入を予定」という回答も27%となり、半数以上がAIを導入済または導入予定であることがわかった。
AI導入における最も大きな課題は「AI人財の不足」
続いて、「勤務先でのAI導入に関する課題」を尋ねると、最も多かったのは「AIの導入をリードできる人財がいない」(33%)、次いで「AIを扱える人財がいない」(30.9%)となった。職場におけるAI人財不足が最も大きな課題であることがうかがえる。3位には「AIに学習させるデータがない・整備されていない」(22.5%)が入り、AI導入環境の整備が遅れている状況も明らかとなった。
7割以上が「国際競争力維持」や「利便性向上」にAIが必要と認識
さらに、「現在日本が抱える各課題に関して、AIの導入が必要と思うか」と尋ねると、日本の国際競争力の維持については、「とても必要」(35%)と「まあ必要」(37.3%)を合わせて72.3%と、7割以上が必要性を感じていることがわかった。また、最も必要性を感じている課題は利便性向上で、「とても必要」が28.6%、「まあ必要」が45.3%、合わせて73.9%という結果に。身近な生活の中にAIが導入されたことで、その利便性と必要性を実感していることがうかがえる。
約7割が諸外国に比べAI導入の遅れを指摘
また、「諸外国と比べたときの、日本国内におけるAI導入の状況」を尋ねた。すると、約7割にあたる68%が「遅れていると思う」と回答。対して「進んでいると思う」との回答はわずか4.6%にとどまった。
ボストン コンサルティング グループが2019年2月に発表した「企業の人工知能(AI)の導入状況に関する各国調査」によると、「一部の業務をAIに置き換えている(またはパイロット実施)」、かつ「自社のAI導入を概ね成功している」と評価している日本企業の割合は、調査対象国7ヵ国(日本、米国、中国、スイス、ドイツ、フランス、オーストラリア)の中で最下位だった。今回の調査も同様で、管理職の視点からも国内でのAI導入の遅れを感じている状況が浮き彫りとなった。
新型コロナウイルス感染症拡大で「AI導入が進む」と予想
続いて、「新型コロナウイルス感染症拡大によって、日本社会および勤務先においてAIの導入は進むか」と尋ねたところ、日本社会においては64.3%が、勤務先においては48.3%が「AI導入が進む」と回答した。
AI導入が進むと予測される分野は「通信」や「マーケティング」など
また、日本社会において「AI導入が推進される」とした回答者に、「どの分野で導入が進むと思うか」尋ねた。すると、最も多かったのは「通信・インターネットサービス」で55.1%、次いで「市場調査・マーケティング」で53.1%、「金融」で50.8%となった。
AI導入が進む職種では「経理・財務」、「品質管理」、「企画・マーケティング」など
さらに、勤務先において「AIの導入が推進される」とした回答者に、どの職種で導入が進むと思うか尋ねると、最も多かったのは「経理・財務」で50%に。次いで「品質管理」(49.5%)、「企画・マーケティング」(46.1%)など、数値やデータを扱う職種が多い結果となった。
「業務効率化」や「働き方の多様化」に向けて欠かせないデジタル化だが、日本におけるAI導入は、諸外国に比べ遅れていると認識する管理職が多いようだ。AI導入のポイントとなる人材の育成や確保と、その人材を取り巻く環境整備に注力することがますます求められそうだ。
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