内定者フォローは「内定辞退防止」から「早期戦力化」へ

 近年、売り手市場が続いていた新卒採用の現場では、優秀な人材を確保するのが難しいことから、内定辞退を防ぐための内定者フォローの施策が重要視されてきた。しかし今、新型コロナウイルスの影響で、企業の採用戦略は転換期を迎えており、内定者フォローの目的や在り方も大きく変わりつつある。アフターコロナにおいて、果たして企業は内定者とどのように向き合えばいいのか。船井総合研究所・藤木晋丈氏に解説していただく。

変わりゆく採用手法の新潮流とは?

 採用手法には、「集め方」と「見極め方」という2つの軸が存在します。そのうち「集め方」に関しては、近年HRテクノロジーなどの影響で多様化が進み、その在り方が大きく変わってきました。企業が欲しい人材に直接アプローチするダイレクトリクルーティングはその代表例でしょう。またオウンドメディアを通じて直接メッセージを発信し、共感を喚起することで応募へとつなげるオウンドメディアリクルーティングや、Web会議ツールや動画配信サービスなどを活用したオンライン採用なども普及が進み、採用手法の大きなトレンドになっています。こうした新しい仕組みやサービスの中から、自社に最適な手法を選び、採用活動を効率的に進めることが重要です。

 こうして企業は人材を集め、見極め、内定を出すわけですが、採用活動はそれで終わりではありません。内定を出した後、入社日を迎えるまで内定者をしっかりとフォローする必要があります。ではなぜ内定者フォローは必要なのでしょうか。そこで今回は、内定者フォローをすべき2つの目的と、そのための効果的な施策をご紹介します。

内定辞退を防ぐ内定者フォロー、3つのポイント

 内定者フォローのメインキーワードは、「内定辞退防止」です。たくさんの不安や迷いを抱える内定者が、入社日までの間に内定を辞退しないようにきめ細かくフォローします。具体的な施策は主に3つ。1つ目は、内定者同士の横のつながりを作ることです。懇親会や内定者合宿の開催、またSNSを利用した内定者同士の情報交換などを通じて、相互理解を深め合ってもらいましょう。

2つ目の施策は、会社をさらに理解し、好きになってもらうこと。学生にとって、内定前に与えられる情報と、内定後に与えられる情報とでは、受け取り方も変わります。よって内定者研修等を通じて会社の理念や将来のビジョン、業界における自社のポジショニングなどをあらためて明確にし、内定者が人に伝えられるようにすることを目標にしましょう。さらにキャリアのモデルになる先輩社員との接点や、職場見学などを織り交ぜることで、仕事の理解ややりがいを深めることもできます。

そして3つ目の施策は、入社後の短期的な目標を設定すること。仕事の理解や先輩社員との交流を深めることで、自分の将来像はより描きやすくなります。そこで3×3の9マスの正方形にテーマを書き込むことでアイデアを広げる発想法「マンダラート」のように、例えば5年後の自分の幸せの構成要素は何なのか、仕事とプライベートの両面からイメージし、目標を思い描いてもらいましょう。さらに個々に設定した目標を、最後に発表してもらい、全体共有することも大切です。

アフターコロナと早期戦力化

 これまでの内定者フォローは上記のように「内定辞退防止」が主な目的でした。しかし新型コロナウイルスの影響で状況は大きく変わり始めています。今後多くの企業が新卒の採用人数を減らしていくと同時に、新卒者にも即戦力を求めるようになっていくでしょう。つまり内定者フォローのキーワードは、新型コロナウイルスを分岐点に「内定辞退防止」から「早期戦力化」へと変わっていくということです。なかには内定者アルバイトという形で在学中から働いてもらい、いち早く戦力にしたいと考える企業も増えてきています。

 早期戦力化の具体的な方法としては、まず業務を細分化・見える化し、その中の一部を内定者アルバイトに渡して、少しずつ慣れてもらいます。もちろん正社員でなければできない業務もあると思いますが、実際に業務分解をしてみると、アルバイトにも任せられる部分は意外とあるものです。またいきなり業務として任せるのが難しいというのであれば、内定者研修の中に業務の一部を組み込んで、より実践的なスキルや知識を習得してもらうのも一手でしょう。いずれにせよ、難しく考える必要はありません。入社日が4月1日でなく、少しだけ前倒しになったと思って受け入れていけばいいのです。

 また昨今では、内定者フォローもオンライン化が進んでおり、特に早期戦力化の部分で効果を発揮しています。例えば従来の内定者研修では、月数回、あるいは毎週1回などの実施頻度になると、なかなか遠方の学生は参加しづらく、全員揃って早期に戦力化するのが難しい状況でした。しかし内定者研修をオンライン化すれば、そうした課題が解消され、早期戦力化のための2~3時間の集中的な講義やグループワークなどが実現できます。

 ここで早期戦力化の実践事例をご紹介します。弊社のお客様であるBtoC企業のA社様では、営業職の内定者に対し、内定者アルバイトの事前研修を行いました。まずはスキルマップを使って、商談前の準備や商談後の電話連絡、書類作成等をレクチャーし、続いてスキルチェックシートを使って、人事や内定者の受け入れ部署の上司らが習得具合を評価。実際に業務を任せられると判断した内定者から、アルバイトとして働いてもらいました。結果すべての内定者が入社日までに仕事の一部を覚えることができ、またアルバイト期間中に先輩社員をフォローしたことで、現場の生産性向上にもつながりました。

 このような取り組みは業種・職種関係なく導入できることだと思いますので、内定者をいち早く戦力にしたいとお考えの企業様は、ぜひご参考にしてみてください。


・船井総合研究所
https://hrd.funaisoken.co.jp/

・人財ファースト経営フォーラム
https://www.funaisoken.co.jp/study/036442

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プロフィールPROFILE

株式会社船井総合研究所 HRD支援部 上席コンサルタント 藤木晋丈氏

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