採用手法の新潮流と内定者フォロー

昨今、攻めの採用といわれる「ダイレクト・リクルーティング」が注目を集め、一方で新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、「オンライン採用」の導入も急速に広まりつつあります。企業はこうした採用手法の新潮流に乗って、優秀な人財を確保しなければなりません。そして同時に、厳しい獲得競争の末に確保した人財が内定辞退をしないように、入社の日を迎えるまで、しっかりフォローすることも重要です。そこで今回は、採用手法の新たな潮流を踏まえた内定者フォローのあり方について解説いたします。

企業が今、注目する採用施策とは?

 採用手法の多様化が急激に進む昨今、特に利用率が高まっているのが、「ダイレクトリクルーティング」と「オンライン採用」です。HR総研が2019年に上場および非上場企業のキャリア採用担当者を対象に実施したアンケート調査では、「今後利用が高まると思う採用手段・サービスは?」という質問に対し、1位が「リファラル採用」(53%)、2位が「ダイレクトソーシング(転職者DB)」(41%)という結果になりました。

またリクルートキャリアが2020年3月に実施した「オンライン面接」の導入状況調査では、「導入済」もしくは「導入決定済」という回答が約3割に上っています。さらに同社の研究機関・就職みらい研究所によると、2020年度の新卒採用は最終選考までオンラインで実施すると決定した企業が、ゴールデンウィーク明けから増え始めたようです。

そして今、採用活動のオンライン化の波は内定者フォローにまで及んでおり、なかには内定後の企業理解の促進や内定者同士の交流を図ることを目的としたオンラインでの内定者フォロー支援サービスを提供する企業も現れています。

なぜ内定者フォローが必要なのか?

 採用活動は、内定を出したら終了ではありません。企業は内定を出した後も、内定者と定期的に接触を図りながら、自社で働くモチベーションを入社まで維持できるよう努める必要があります。確保した人財をつなぎ止め、内定辞退を防ぐためです。また、入社後の不満や早期離職を防止するために、入社前から内定者のイメージと実際の職場や職務とのギャップを埋める必要もあります。

一方、内定者は社員や他の内定者と関わり合うことで、職場の理解や内定者同士の絆を深めることができます。多くの内定者は、入社後の人間関係や仕事内容など、職場と職務の適応に不安を抱えており、職場の理解や内定者同士の絆の深まりは、内定者が入社前に抱えている不安を軽減する力になるのです。

 このように内定者フォローは、内定辞退や離職の防止という企業側の目線だけでなく、入社後の不安を軽減するという内定者側の目線でも、取り組む必要のある施策と言えます。

内定者フォローにおける人事の役割

 内定者が入社前に社員や内定者同士とつながりを持つことは重要です。特に新卒採用では、選考段階で対面した応募者同士が、内定者同士のつながりへと発展することも少なくありません。しかしオンライン採用の場合、こうした機会が得られなくなります。つまり企業にとっては、入社までのモチベーション維持という点で、従来の採用よりも内定辞退の不安が残ってしまうのです。

 そのため企業の人事担当者には、たとえオンラインでの選考を経たケースであっても、不安や心配事を抱える内定者に対してSNSやメール等で寄り添ってあげることが従来以上に求められるでしょう。しかし一方で内定者は、ともに働く社員や他の内定者との交流も求めています。職場の人間関係や風土についての不安は、入社後に関わり合う人と事前に関係性を築いておくことで解消される部分もあるからです。そこで企業の人事担当者は、不安や悩みを抱えた内定者が気軽に相談できる窓口と、不安や悩みを解消できる協力者を社内に用意しましょう。協力者は、上司や先輩となる社員、あるいは同期となる内定者の場合もあります。そして内定者には、社員や他の内定者と直接対面することがかなわない状況下でも、オンラインで交流できる場が必要です。例年、入社前に行われる研修や懇親会をオンラインで実施することも、ひとつの手段になり得ます。


採用戦略の実施策は、人財探しから内定者フォローに至る採用活動の入口から出口まで、途切れることなく必要です。新型コロナウイルスの影響でオンライン採用の導入が進む中、内定者フォローの重要性はさらに高まっていきます。内定者の不安に寄り添う適材適所のフォロー体制を用意し、内定者が入社後に活躍できる土台を築きましょう。

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