2019年「企業倒産」に関する調査結果。倒産企業の約3割が「業歴30年以上の老舗企業」
高齢化という深刻な問題を抱える老舗企業。産業別に平均寿命に差も
経営者の高齢化が進む老舗企業では、後継者の育成など、事業継承についてさまざまな課題を抱えている。国や自治体は創業支援に積極的に働きかけているものの、事業計画の見通しが甘いまま創業する企業もあり、玉石混交の状態だ。そのため、創業支援だけでなく、創業後の育成支援もまた重要な課題となっている。
今回の調査によると、倒産企業の平均寿命は23.7年で、前年より-0.2年という結果となった。平均寿命が前年を下回ったのは2017年以来、2年ぶりという結果だ。産業別の平均寿命を見ると、最長が製造業の34.9年であるのに対し、最短は情報通信産業で16.7年だった。その差は18.2年と、大きく差異があり、業種によっても寿命に違いがあることが見えてくる。
「老舗企業」の倒産割合は3割以上を推移
また、倒産したすべての企業のうち、業歴30年以上の「老舗企業」が占める割合は32.4%で昨年よりも-0.3ポイントとなった。倒産した企業を占める「老舗企業」の割合は、2011年から9年連続で30%以上を推移しているという結果だ。
「老舗企業」は長年の事業経験に加えて、不動産や内部留保などの資産形成が進んでいる。そのため、金融機関、取引先からの信用を維持しやすいといえる。その一方で、「過去の成功体験へのこだわり」、「環境変化への順応」で遅れが出やすいといった課題も抱えている。そこへ経営者の高齢化問題も重なり、「事業承継の遅れ」や「後継者不足」が発生することで、設備投資など経営の効率化が追いつかず、結果的に倒産への道を辿るケースがあると考えられる。
反対に、業歴10年未満の「新興企業」の倒産割合は26.7%と、前年より+1.9ポイントとなり過去最高を更新した。今後企業経営においては、創業に対する支援だけでなく、創業後の企業存続を目指した育成支援など、次のステップへ向けた取り組みの強化が求められるだろう。
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