AIシステム開発の下支えを目指して 〜NECが策定する「AI品質ガイドライン」〜
新たなガイドラインの策定で、従来の品質保証の課題を解決
AIシステムの構築や開発においては、事実や事例から導き出される傾向をもとに、結論へとつなげる帰納的な手法を取ることが必要だ。そのため、開発の際には試行錯誤がともなう場合も多いという。しかし、テストやレビューといった、十分な品質であることを測定する技法が無いことに加え、AIエンジンによる分析と結果を出すまでの工程が複雑で、人間の解釈が追いつかない場合もある。このため、ソフトウェアの品質保証を目的につくられたこれまでのガイドラインだけでは対応が難しいことが課題だった。NECでは、これの状況を受けて今回のガイドライン策定に至り、今後のAIシステム開発の下支えにすることを目指すとしている。
「AIガイドライン」により、激動のAI領域で新システムがクリアすべき基準が明確に
「AI品質ガイドライン」は、同社が有する豊富なAI応用システムの開発経験と、従来のソフトウェア品質保証のスキルの双方の観点からノウハウを集め、ひとつにまとめたものだ。大きな特徴としてあげられるのは下記の2点となる。
(1)AIシステムのフェーズごとにチェック項目を設定
AIを用いた開発における特徴的な4つのフェーズ「システムの企画(PoC)」と「データの収集・加工」、「モデルの作成・評価・テスト」と「システム運用」に対し、具体的な基準を定める。これによって、各フェーズ間の移行の際、本ガイドラインに従いチェックを行うことで、次フェーズに発生し得るリスクを早い段階で回避できるという。
(2)機械学習モデルに関した定量値を含むチェック項目を設定
これまでのAIシステムの開発経験をもとに、機械学習のモデル作成用データの量や外れ値、欠損値などの項目について定量的基準を定める。基準が明確になることで、第三者による判断が可能になるとしている。
数多くの企業がさまざまなテクノロジーの導入を検討している中、作業効率化や生産性向上を目的としたシステムにおけるAI領域はとくに激しい変化を遂げている。
今回発表された「AI品質ガイドライン」が、いち企業内に留まることなく広くAIシステム構築に適用できるものとして整備されれば、将来的に、企業がテクノロジー導入や活用を検討する際のひとつの基準ともなるだろう。AIシステムの実務運用に大きく貢献することが期待される。
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