優秀な人材の確保を目的に海外での雇用も。コロナ禍で加速した「リモート雇用」を実施する企業は3割以上に。
約半数の企業が「リモート雇用」を実施または検討中。日本国外での雇用も進む
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、各企業でリモートでの雇用が増加傾向にあるが、外資系企業および日系企業でのフルリモート勤務を前提とした雇用は、どのような状況なのだろうか。
はじめにエンワールド・ジャパンは、「フルリモートワークを前提とした、事業拠点地域以外からの雇用(以下、リモート雇用)を行なっているか」を尋ねている。その結果、「行なっている」が33%、「まだ行なっていないが、検討中」が16%で、合計は約半数となる49%だった。外資系企業と日系企業を比べると、外資系企業が同54%、日系企業が同45%で、9ポイントの差があった。
また、「行っている」と回答した企業に尋ねた「リモート雇用地域の最大範囲」については、全体では「日本全国(国内であれば制限なし)」が46%で最多に。以下、「特に定めていない」が30%、「何かあれば事業拠点に駆け付けられる範囲」が18%と続いた。加えて、「日本国外(時差4時間以上)」が4%、「日本国外(時差4時間未満)」が1%となり、少数ではあるものの、国を超えてのリモート雇用が可能だとする企業も一定数あることがわかった。
リモート雇用を行う理由のトップは「優秀な人材を獲得するため」
次に同社は、「リモート雇用を行う理由」について聞いている。すると、「事業拠点地域以外から優秀な人材を獲得するため」が全体で72%(外資系で68%、日系で76%)とトップだった。優秀な人材を採用するため、競争倍率の高い首都圏以外からの雇用に注力する企業が多いようだ。
「その他」のフリーコメントでは、「フルリモートが、業務上大きな問題とならないという認識が共有された」との回答もあり、コロナ禍におけるリモートワーク導入と実施の実績が、リモート雇用を後押ししていることがうかがえる。
リモート雇用の課題は「従業員の健康・メンタルヘルスのフォロー」が最多
続いて、「リモート雇用時の課題」については、「従業員の健康・メンタルヘルスのフォロー」が全体で46%(外資系で44%、日系で49%)と最多であった。半数近い企業で、リモート雇用による従業員の心身のヘルスチェックの課題を抱えていることが推測できる。そのほか、「研修やオンボーディングのオンライン実施による内容理解・定着の低下」が全体で30%、「従業員の帰属意識の低さ(離職しやすい)」が同25%で上位となり、非対面での従業員のエンゲージメントに関する課題も一定数あることがわかった。
2割以上の企業がコロナ禍によりオフィスを撤退または縮小。2020年より増加傾向に
最後に同社は、「新型コロナ流行の影響を理由とした、オフィスの撤退・縮小」に関して尋ねている。その結果、全体では「オフィスの撤退・縮小は行っていない」が73%である一方で、「1%以上30%未満、撤退・縮小した」が15%、「30%以上50%未満~」が7%、「50%以上~」が4%で、合計26%に。2割以上の企業において、コロナ禍によりオフィスの撤退・縮小を行ったことが判明した。
なお、2020年6~7月に同社が実施した「グローバル企業のテレワーク実態調査」の結果では、オフィスの縮小をした企業は6%であったことから、リモート雇用の実施等により、オフィスの縮小を行う企業が増加傾向にあることが明らかとなった。
「事業所拠点と離れた場所からのリモート雇用」を行っている企業が一定数あることから、今後も新たな雇用形態の1つとして定着していくことが予測される。フルリモートでの勤務が可能な企業では、応募者の居住地域を問わない人材採用ができるリモート雇用の導入を検討してみてはいかがだろうか。
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