社外活動の充実した上司が職場をポジティブにする。「管理職の社外活動に関する実態調査」より

リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所は、2018年6月に実施した調査「管理職の社外活動に関する実態調査」の結果を発表した。対象者は社会人になった後に社外活動の経験がある、部下を持つ課長相当の男性管理職411名で、調査方法はインターネット調査となる。

同研究所が2017年10月に行った「上司の社外活動に関する意識調査(『ボス充 』意識調査 )」によると、社外活動が充実している上司(調査で「ボス充」と定義)の方が、若い部下には魅力的に映っていることが分かったという。その結果から、社外活動が充実している管理職と、そうでない管理職との間には、どのような違いがあるのかを調べている。

対象者が行っている社外活動はどのような内容かを調べたのが下の表だ。頻度の傾向は活動内容によって異なり、「ほぼ毎日」が多いのは「育児」(19.7%)であった。育児を除き、実質的に活動している状態といえる、「月に数回」以上(「ほぼ毎日」と「週に数回」、「月に数回」の合計)の頻度のものを見ていくと、「趣味・スポーツなどのスクールやコミュニティ」(55.2%)、「副業・兼業(起業含む)」(28.1%)、そして「学校、PTA、自治会の役員など地域貢献活動」(26.6%)、「社会福祉。文化振興、災害復興などの、ボランティア活動」(24.8%)と続いた。なお、「年に数回以下」の活動の選択数は平均3.0、「月に数回」は平均2.0であった。



※リクルートマネジメントソリューションズ調べ


課外活動を始めた理由を、活動を特定せずに質問したところ、「活動内容が面白そうだったから」(31.2%)、「会社以外でのネットワークづくりができるから」(30.1%)、「社会に対して貢献したいと思ったから」(29.8%)が3大理由であった。この他には「人から誘われたから」(19.7%)、「家族から要請があったから」(10.4%)というケースも存在し、社外活動は必ずしも自分の意志で積極的に始めたものばかりではないことが分かった。



※リクルートマネジメントソリューションズ調べ


対象者の状況が分かったところで、これら活動が職場やマネジメント行動に対してどう役立っているかその内容を自由記述回答で聞いた。その声には、部下育成、多様性理解・コミュニケーションの幅の広がり、その他態度・心構えに関する具体的な記述が挙がっていた。以下にその抜粋を紹介する。


『職場やマネジメント行動に役立っていること(自由記述より抜粋)』

▼部下育成
  • 子どもに対する指導の仕方が仕事の成果が上がらない社員に接するときの態度と変わらないと気づき、私自身の考え方、行動に大きな影響を与えた。(45歳)
  • 本業では部下が1人ですが、社外活動では30人程度のリーダーなのでそのマネジメントが本業に役立っている。(48歳)


▼多様性理解・コミュニケーションの幅の広がり
  • 部下など特に自分より弱い立場、状況にある人を思いやるようになった。(50歳)
  • 年齢差がある人たちとのコミュニケーション術の会得。(56歳)


▼その他態度・心構え
  • 自分が参加することで他社が社会活動に参加することを容認、奨励しやすくなった。(47歳)
  • 部下もそれぞれプライベートな時間や問題をもっているのだと寛容になることができた。(34歳)


ここからは、社外活動が充実している管理職の特徴について紹介する。本調査では、社会活動が充実していて(「月数回」の活動が1つでもある、積極群)、プライベートから仕事へのポジティブな効果を認識している群(スピルオーバー高群)を「ボス充」群としている。年齢についても触れており、「ボス充」群は30代前半と40代が、「ボス充でない」群は50代が多かったという。



※リクルートマネジメントソリューションズ調べ

管理職としての行動や考えについては、部下との関係性に関する4項目に有意差が確認された。「ボス充」群の方が部下と仕事のみならず、プライベートも含めた関係性を志向している傾向が見られた(図表8-1)。



※リクルートマネジメントソリューションズ調べ


社外活動が充実している管理職は、部下との関係性においてプライベートも含めた全人格的な人間関係を築こうとしていること、自身の適応感のみならず、職場の心理的安全性についても高い傾向にあることが確認された。

「社外活動が充実している管理職」と「社外活動が充実していない管理職」をそれぞれワーク・ライフ・バランスの点で比較すると、社外活動が充実している管理職は、趣味・家庭重視でありながら、打ち込める仕事であれば仕事中心の生活になることをいとわないという傾向も強かった。

しかし実際に、平均的な月間労働時間について尋ねると、両群で差は見られなかった。社外活動が充実しているからといって、仕事をおろそかにしているわけでも、労働時間が短いわけでもないようだ。

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