果たして世の中の上司たちは、自分の部下のパフォーマンスに対して、どのように感じているのだろうか。アトラシアン株式会社が、2018年6月に同社運営のビジネス情報サイト読者を対象に、直属の上司や部下の評価に関するアンケートを実施（有効回答数：391名）し、日本企業で働く上司たちの、部下のパフォーマンスに対する評価について明らかにしている。

この調査によると、自分の率いるチームのパフォーマンスに対する満足度に関しては、「大いに満足」が2%、「満足」が22%となっており、「大いに不満」は4%、「不満」は19%、「普通」が53%という結果だった。普通を除くと、満足がやや上回っているものの、日本企業で働く上司のおよそ4人に1人は、チームのパフォーマンスに「不満」を感じているようだ。

続いて「チームのパフォーマンスに対して大いに満足・満足・普通」と答えた層に対して、「率いるチームの問題点」を聞いたところ、以下のような結果となった（上位5項目のみ記載）。

・自己裁量の下、自律的に動ける部員が少ない（28.9%）
・自分のミッションや役割、ゴールに対する理解が浅い部員がいる／多い（22.4%）
・仕事に対する熱意・責任感に欠ける部員がいる／多い（20.7%）
・チーム内でのコミュニケーションが足りていない（18.4%）
・自分のアイデアや考えを持ち、きちんと発言できる部員が少ない（15.5%）

これらの回答から、チームのパフォーマンスに強い不満はなくとも、自律的に動ける部下が少ない点や、自分のミッションや役割等に対する理解が浅い部下がいる点、熱意や責任感に欠ける部下がいる点など、個々の仕事に対する姿勢について問題視していることがうかがえる。

反対に、「チームのパフォーマンスに対して大いに不満・不満」と答えた層に対して、「率いるチームの問題点」を尋ねたところ、以下のような結果となった（上位5項目のみ記載）。

・仕事に対する熱意・責任感に欠ける部員がいる／多い（41.4%）
・自分のミッションや役割、ゴールに対する理解が浅い部員がいる／多い（37.9%）
・自己裁量の下、自律的に動ける部員が少ない（32.2%）
・コミュニケーション能力に欠ける部員がいる／多い（24.1%）
・問題回避・解決能力に欠ける部員がいる／多い（24.1%）

両方の結果から分かるのは、チームのパフォーマンスに満足であれ、不満であれ、上司たちが「自分のミッション、役割、ゴールに対する深い理解」を部下たちに求めているということだ。

一方、部下たちに対して行った意識調査でも「自分たちのミッション、役割、ゴールを明確に示してくれること」を上司に最も強く求めていることが明らかになった。こうした結果は、上司と部下にすれ違いが生じ、意思疎通があまりうまくいっていないことの表れではないだろうか。

さらに391人の上司たちに、「チームのパフォーマンス向上のためにどんな施策が重要か」を尋ねたところ、以下のような結果となった（上位5項目のみ記載）。

・部員の各人に、自分の役割、ミッション、ゴールをより深く理解させる（42.7%）
・部員のスキルアップ／トレーニングに力を入れる（30.2%）
・チーム内でのノウハウ、アイデア、成功体験／失敗体験の共有に力を入れる（29.4%）
・上司に気兼ねなく、自由に意見・アイデアが出し合える雰囲気を作る（24.6%）
・部員一人ひとりの働きぶりに対する構成な評価・報酬を徹底する （23.8%）

自分の役割、ミッション、ゴールを知ることは、部下たちも強く望んでいることであり、チームパフォーマンス向上には、この点に注意を払うことが鍵となりそうだ。それには、上司・部下の想いにすれ違いが生じないよう、日頃から密なコミュニケーションを取ることが肝要だろう。