多くの企業が「従業員のモチベーション向上」を重視。~帝国データバンクが働き方改革に対する意識調査を実施

正規雇用・非正規雇用の格差解消や長時間労働の是正などを骨子とした、いわゆる働き方改革関連法案が国会で可決・成立。企業にとって「社員の働き方を見直す」ことは、すぐさま取り組まなければならないマターとなった。

帝国データバンクでは、働き方改革に対する企業の取り組み状況を調査。寄せられた回答からは、多くの企業が「まずは人から」と考えて取り組みを進めている様子がうかがえる。

働き方改革の取り組み状況としては、「取り組んでいる」企業が37.5%、「現在は取り組んでいないが、今後取り組む予定」が25.6%で、計63.1%。人手不足、資金難、会社全体での理解が必要、時間がかかる……などの理由から「取り組む予定はない」(15.1%)、「以前取り組んでいたが、現在は取り組んでいない」(2.6%)という企業も一定数存在するものの、取り組みに対して前向きな企業が6割以上を占めていることになる。

働き方改革において最も重視する目的は「従業員のモチベーション向上」が25.6%でトップ、次いで「人材の定着」(19.8%)、第4位に「従業員の心身の健康(健康経営)」(15.4%)が入っている。政府は「働き方改革こそが、労働生産性を改善するための最良の手段」と唱え、実際、「生産性の向上」(15.9%で第3位)を重視する企業も多いが、どちらかといえば“まずは、いま働いている社員を大切にしよう”という企業の意識が強く表れている印象だ。

具体的な取り組み内容も、「長時間労働の是正」(79.8%)、「休日取得の推進」(61.8%)、「人材育成」(56.3%)と従業員のモチベーションアップに直結するものが多い。「業務の合理化や効率化のためのIT・機器・システムの導入」(49.2%)など、生産性向上に即効性のある業務改善的な施策よりも、やはり“人”を大切にした取り組みが重視されているわけだ。効果のあるものとしても「長時間労働の是正」(30.3%)が最多数となった。

今後、新たに取り組む予定の項目としては「休日取得の推進」(24.8%)が首位、次いで「人事評価制度・賃金制度の変更、改善」(23.9%)。これらもまたモチベーションの向上に寄与することが期待されているものだといえる。

働き方改革に「取り組む予定はない」、「以前取り組んでいたが、現在は取り組んでいない」という企業からは、その理由として「必要性を感じない」(37.6%)のほか、「効果を期待できない」(34.1%)、「人手不足や業務多忙のため、手が回らない」(29.4%)という意見があがっている。いっぽうで多くの企業が、効果を性急に望むのではなく、まずは従業員のモチベーション向上を重視し、実践し、結果的に「少ない人手で生産性を上げる」ことを期待している。そんな状況がうかがえる調査結果ではないだろうか。

(出典:帝国データバンク「働き方改革に対する企業の意識調査」/調査期間は2018年8月20日~8月31日/調査対象23,099社のうち有効回答企業は9,918社/2018年9月発表)

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