株式会社HRBrainは、2018年8月、全国の人事評価を受ける立場の会社員男女600名を対象に、「目標管理の実態と従業員の本音に関する意識調査」を行った。ここではその結果をもとに目標管理の実態について考察する。


※株式会社HRBrain調べ

■「あなたの会社では、四半期・半年、あるいは一年ごとに個人の目標を設定していますか？」との問いは、

・設定している…49.2%
・設定していない…50.8%

という結果であった。これを企業規模別に見ると以下の通りとなる。


※株式会社HRBrain調べ

・25人未満…設定している（12.1%）、設定していない（87.9%）
・25〜100人未満…設定している（41.4%）、設定していない（58.6%）
・100〜300人未満…設定している（45.1%）、設定していない（54.9%）
・300〜1,000人未満…設定している（64.7%）、設定していない（35.3%）
・1,000〜3,000人未満…設定している（65.7%）、設定していない（34.3%）
・3,000人以上…設定している（65.7%）、設定していない（34.3%）

従業員数25人未満の会社では12.1%、従業員数25〜100人未満の会社では41.4%しか目標設定をしておらず、従業員数が少なくなると個人の目標を設定していない傾向にあることがわかった。


※株式会社HRBrain調べ

■個人の目標設定をしていると回答した会社員に対し、「あなたの会社では、個人目標を何に記載・入力し、どのように管理していますか？」と尋ねたところ、結果は以下の通り。（上位3位まで記載）

・エクセルなどのドキュメントを使用している（52.9％）
・メモや紙に記している（20.0％）
・クラウド型の管理ツールを使用している（19.0％）

「エクセルなどのドキュメントを使用している」会社と「メモや紙に記している」会社が合わせて72.9%と、いまだに日本の会社では、アナログ的な手法で目標管理を行っていることがわかった。

また、「これまでに部署異動や新しい上司が就任した等の引き継ぎのタイミングで、 上司によって求められる指標、フィードバック等が異なっていたため、やりづらい、困惑したことはありますか？」と尋ねたところ、結果は以下の通り。


※株式会社HRBrain調べ

・よくある…26.1%
・たまにある…53.9%
・まったくない…20.0%

「よくある」と「たまにある」を合わせると８割にのぼることから、多くの人にとって上司により評価軸が異なることが、目標設定の弊害となっていることがわかる。


※株式会社HRBrain調べ

■さらに、個人の目標設定をしていると回答した会社員に対し「あなたの設定した目標に対する姿勢」を３つの選択肢から一つ選んでもらった。

・設定した目標を常に意識して、日々の仕事に取り組んでいる（35.9%）
・査定時間や面談時間のみ、目標を意識して仕事に取り組んでいる（45.8%）
・目標を意識できていない、または、覚えていない（18.3%）

「査定時期や面談時期のみ、目標を意識して仕事に取り組んでいる」会社員と、「目標を意識していない、または、覚えていない」会社員が合わせて6割以上と、個人設定の目標が“名ばかり目標”となっている現状が明らかになった。


※株式会社HRBrain調べ

また、「目標を常に意識できていないと答えた理由」を尋ねたところ、結果は以下の通りであった。

1位：目標を振り返るタイミングが少ないから（46.6％）
2位：面談のためのその場しのぎの目標設定になってしまっているから（42.9％）
3位：設定した（された）目標に対して納得いっていない、または、機能していないと感じているから（27.0％）
4位：目標設定をすることで評価にどう反映されるかわからないから（24.3％）
5位：達成が難しい、またはハードルが高すぎる目標設定となっているから（19.6％）

目標への意識が低い原因については、「目標を振り返るタイミングが少ないから」が46.6%で最多。僅差で42.9%の「面談のためだけのその場しのぎの目標設定になってしまっているから」が続く。目標を振り返るタイミングの少なさと、その場しのぎの目標設定が、低い目標意識の原因となっている傾向にあることがわかった。