回答企業の約4割が、2019年度の倒産増を予想。景況感鈍化の影響か~「企業の取引リスクに対する意識」調査より
2019年1月、内閣府が景気回復の期間について「戦後最長となった可能性がある」と指摘し、景気は回復を続けていると言われている。しかし、「景気動向指数」は2018年10月から2019年1月にかけ下落しており、一部では後退局面ではとの疑念もささやかれている。企業の景気動向は今、どのような状況なのだろうか。与信管理ASPクラウドサービスを提供するリスクモンスターが2018年10〜11月、同社が運営するサイトの会員企業および上場会社、会社法上の大会社に対して実施した、「企業の取引リスクに対する意識」調査の結果から紹介しよう。なお、有効回収数は934件であった。
まず、『企業の景況判断』を数値化して示した一覧が以下だ。明示した数値は「景況判断の割合の差(DI)」で、「景況感が良くなったと回答した割合」から「景況感が悪くなったと回答した割合」を引いて算出している。
※リスクモンスター株式会社調べ
全体では、「景況感はよくなった」と回答した企業の割合と「悪くなった」と回答した企業の割合の差(DI)は、+6.6ポイントであった。景況感は改善傾向にあるものの、前回調査時の2017年10~11月に比べると大幅な低下がみられ、景気の高揚感はやや鈍っているようだ。
業種別に見ると、「製造業」と「運輸業、郵便業」のみがマイナス値に転落している。これに対し、前回に比べ大幅な数値上昇がみられたのが「その他のサービス業」と「複合サービス業」で、景気が改善している様子がうかがえた。
また、地域別で最も数値が高かったのは+9.8ポイントの「九州・沖縄」、次いで「関東」、「近畿」という結果であった。全ての地域で前回調査時より数値が低下しており、特に「北海道(-25.0ポイント)」、「東北(-30.0ポイント)」においては、前回調査時(「北海道(31.3ポイント)」、「東北(23.7ポイント)」と比較すると、景況感が大幅に後退していた。
もし、取引先が倒産すれば、その影響は自社にも及ぶ。景況感は後退していると見られる中、企業は倒産数の見通しに対してどう捉えているのだろうか。その結果をまとめたのが、下表『2019年度の倒産動向予想』だ。
※リスクモンスター株式会社調べ
2019年度の「倒産数は増加する」との回答が、全体の41.0%にのぼり、「減少する」の6.8%を大幅に上回っていた。
業種別にみると「金融業、保険業」、「複合サービス業」、地域別では「東北」、「九州・沖縄」、「中国」において「倒産数は増加する」との予想が半数を超えた。特に「東北」では9割が倒産数の増加を懸念していることが分かった。
※リスクモンスター株式会社調べ
また、『直近3年間の貸倒れ・回収遅延の発生状況』については、「貸倒れおよび回収遅延は発生していない」が57.8%で、前回調査時から3.5ポイント上昇し、多少の改善がみられた。
「貸倒れまたは回収遅延が発生した」企業のうち、全額または、現在徐々に債権の回収が進んでいる企業は3割以下にとどまり、回収遅延や貸倒れに対する回収の難しさを反映する結果となった。
さらに、「貸倒れが発生した」と回答した企業に対して、直近1年間の貸倒れについて詳細も聴取している。
発生金額は、「1円以上1百万円未満」が全体の34.6%で最多となるが、「不動産業、物品賃貸業」、「情報通信業」においては、「30百万円以上」の高額債権の貸倒れ割合が他業種に比べて高いようだ。発生件数については、「2~5社」との回答が44.0%で最も多く、「5社以下」で8割を超える結果となった。
『業況判断』は全体で+6.6ポイントとプラス値ではあるものの、やや景気の失速感は否めないようだ。景況改善感の鈍化がみられる中で、約4割の回答企業が「倒産は増加する」と予想するに至っている。取引先のリスクを見極めるなど、今後の経営判断は慎重にならざるを得ないかもしれない。
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