経営における採用の重要性と事業戦略との連携
労働人口の減少による人財獲得の重要性
日本の労働市場は、少子高齢化の進展に伴う「生産年齢人口の減少」や、終身雇用・年功序列制度の崩壊による「労働者の流動化」など、様々な課題を抱えています。なかでも「生産年齢人口の減少」は、企業にとって大きな問題です。生産年齢人口が減ることで、労働力の確保が困難になり、結果的にそれが事業活動を行う上での死活問題になります。実際、人手不足による収益の悪化が要因となって倒産する企業は年々増え続けている状況です。そのため企業の間では昨今、人財獲得競争が激化。有効求人倍率の上昇が、それを裏付けています。
「人事部門」と「採用担当者」が求められる理由
そうした中、多くの企業では、労働力を確保するために様々な取り組みを行っています。具体的には、「新卒、中途社員の採用活動の強化」、「既存従業員の定着率向上」、「高齢者や時短勤務希望者、フリーランスの活用」などが主な施策です。なかでも新卒、中途社員という正規雇用労働者は、企業の経営戦略、ひいては中長期的な成長を見据える上で不可欠な人財と言えるでしょう。そしてもう一つ重要なのが、人事部門の存在です。しかし企業の中には、人事領域の専門部署を設置せず、経営者や管理職が兼任しているケースもあります。とりわけ中小企業は、そうした傾向が強いようです。
人事部門は、「ヒト」という経営資源を最大化する役割を担い、その仕事は、人事採用、処遇決定、人事制度設計、労務管理、人材開発と多岐に渡ります。そうした中、「ヒト」という経営資源を最大化するためには、人事情報の一元管理が欠かせません。縦割りの人事情報は、部門を跨いだ適材適所の人材配置を妨げます。人事部門は、組織を横断する全社共有型人事情報のハブとしての機能を担う必要があるのです。
また人事部門は、従業員の働きを客観的に評価できる制度の企画・設計・運用も担当。従業員の公正かつ適正な評価制度は、働く従業員のモチベーションの維持に役立ちますが、経営者や管理職の感覚に委ねた評価では、時にあらぬ不平不満にも発展しかねません。
採用業務は、書類や面接を通した応募者の評価だけではありません。自社に合った優秀な応募者を1人でも多く集めることも求められます。また、経営戦略上必要な人材を通年で募集し、採用するケースもあり得ます。人事部門や採用担当者は、そのための採用スケジュールや予算といった計画を立案・管理し、計画通りに人材を獲得する責任を負う存在でもあるのです。
経営者は「企業人事の現状」を認識すべし
企業には、経営計画を達成するための戦略が求められますが、労働力は、そうした経営計画の達成に必要不可欠な資源の1つです。そして人事戦略は、そうした資源を獲得する経営戦略の一部であり、さらに採用計画は、人事戦略の一部でもあります。では、企業はどのような人財を求めるべきでしょうか。それは「経営計画の達成に必要な人財」です。企業は、「労働力の確保」に追われるあまり「必要な人財の確保」を忘れてはなりません。
また経営者は、人事部門の設置と採用担当者の任命を経営戦略の一環として捉えるべきでしょう。人事部門の設置や採用担当者の任命に疑問を持つ経営者は、「企業人事の現状」を客観視する必要があります。そのためには、経営者向けのワークショップなどに参加し、他の企業の経営者と人事の現状について議論することも、有効な手段です。
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