日本で働く外国人社員は約半数が「雇用の安定」を評価。一方で給与や人事評価には不満も

理系外国人留学生などの人材紹介を行う株式会社オリジネーターは2021年5月13日、「日本で働く外国人社員の就労環境と転職に関するアンケート」の結果を発表した。調査期間は2021年3月で、同社が運営する外国人留学生就職情報サイト登録者のうち、日本で働いている、または働いたことがある外国人社員129名より回答を得た。これにより、日本での就労経験がある外国人留学生の志向や、企業における課題が明らかとなった。

約5割が「雇用が安定している」と回答

外国人社員は日本企業に対し、どのような考えを持っているのだろうか。

はじめに、「日本で働いてみて良かったこと」を尋ねた。その結果、「雇用が安定している」が49.6%と最も多くを占めた。以下、「やりたい仕事ができて、やりがいを感じる」が28.7%、「給与水準が高い」が24%と続いた。「雇用環境」や「やりたい仕事に就けること」が、外国人にとって魅力になっていることがわかった。



一方で「給与水準」や「受け入れ側の配慮」に不満も

次に、「日本で働いてみて、不満に思ったことやがっかりしたこと」を尋ねた。すると、「給与水準が高くない」が31.8%、「日本語ネイティブでないことへの配慮が不足(早口や難しい言葉を使われる)」が29.5%、「求められている役割や仕事内容が明確でない」と「人事評価の基準が明確でなく、外国人だと昇給・昇進できない」が共に28.7%と続いた。評価基準に「ジョブ型」や「成果主義」が導入され、自身のスキルや成果に対し明確な評価(報酬)を望むことが一般的な外国人社員は、ゼネラリスト育成を前提とした「日本的な雇用形態」が不満要素となっている可能性もあることがうかがえる。

また、「日本語ネイティブでないことへの配慮が不足」が上位に入っていることから、外国人社員を受け入れる企業側に、意識変革や行動変容の必要性が感じられる結果となった。



半数以上が「転職を考えている」

続いて、「現在、転職を考えているか」を尋ねると、「考えている」が55.8%、「考えていない」が44.2%という結果に。転職を考えている外国人社員は半数を超えた。



転職理由は「より成長できる環境を求めて」が最多

次に、「転職を考えている理由」を尋ねた。その結果、「より成長できる環境を求めて」が63.9%と最も多かった。以下、「給与を上げるため」が52.8%、「グローバルな仕事に就くため」が47.2%と続き、外国人社員の上昇志向の強さがうかがえた。企業にとっては、外国人社員に「自社で成長できること」や「身に付くスキル」を明示していくことが、ますます求められそうだ。



約5割が転職で重視するのは「給与水準が高い」と回答

最後に、「転職の際に、企業選びで重視する点」を尋ねた。すると、「給与水準が高い」が47.2%、「職場環境や社風が合う」が41.7%、「グローバルに仕事ができる」が33.3%となった。外国人社員は転職先を選ぶ際、「給与水準」を最も重視する傾向にあることが明らかとなった。




日本企業で国籍を問わずに働ける環境が整備され始めている反面、給与や評価基準に不満を持つ外国人社員もいるようだ。人材を長く定着させるためには、自社の人事評価制度について明確に伝えていくとともに、評価制度の見直しなど行う必要がありそうだ。


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