日本のCEOは、ポストコロナで「新しい働き方の採用」と「デジタルを活用した従業員管理の強化」を重視する傾向に

公益財団法人日本生産性本部は、米国コンファレンスボードと協働で行った「世界経営幹部意識調査『ポストコロナの世界と企業経営』」の結果より分析した各国CEOの特徴を、2020年9月3日に発表した。調査期間は2020年5~6月で、世界44ヵ国1,316名(うち日本155名)より回答を得た。これにより、企業経営に与える新型コロナウイルス感染症の影響による長期的な変化など、世界のCEOと比較した日本のCEOの意識が明らかとなった。

約半数の日本のCEOが経済回復に悲観的

本調査はグローバル視点での生産性課題の解決に向けた国際連携活動の一環として、1999年より毎年行われている。今回は「新型コロナウイルス後の世界をどう考えるか(What's Next? Shaping the post COVIT-19 world)」をテーマに実施された。日本生産性本部ではコンファレンスボードと共に、全世界のCEO606名(うち日本95名)を抜粋し、日本とその他地域のCEOの特徴を比較および分析した。

はじめに、「国内経済回復のシナリオ」を尋ねたところ、世界のCEOの42%がU字型を描き、「2020年第4四半期に回復する」と予想していることがわかった。32%はL字型で、「2021年もしくはそれ以降に回復する」と予想。16%はW字型を描き、「2020年後半に再度、厳格な感染対策を取らざるを得ず経済の緊縮をもたらす」と予想している。

一方、日本のCEOは49%と約半数がL字型を描き、「2021年以降」に国内経済が回復すると予想。これはU字型の26%のおよそ2倍にあたり、世界に比べ、より悲観的な傾向を持つことが明らかとなった。



日本は米国・欧州と同じく、収益回復は「2021年以降になる」と予想

次に、自社の収益回復時期を分析した。「自社の収益が2020年初頭レベルに回復するのはいつか」と尋ねると、日本は「2021年以降」との回答があわせて74%におよんだ。「2021年以降」との回答は、米国では73%、欧州でも76%と、日本と同じ傾向にあることがわかった。

一方、中国は「2020年後半」との回答が49%と最も多く、早い時期の回復を予想していることが判明。他国と相対的な結果となった。また、日本の14%、世界の10%のCEOは「2020年初頭の収益レベルから低下していない、もしくは既に回復」と回答した。



日本を含む世界のCEOがポストコロナを「変革の機会」と捉える

続いて、「新型コロナウイルスが企業運営に与える長期的な影響や変化」について尋ねた。その結果、世界と日本のCEOの約半数が「デジタル主導組織への変革ペースを速める」と回答。ポストコロナの世界において、自社をよりスタミナと柔軟性があるデジタル主導の組織とするべく、多くのCEOが今回のパンデミックを「変革の機会」と捉えている。

そのほか長期的な影響や変化で重要視することについて、日本のCEOのおよそ6割が「顧客嗜好変化を捉えるためのビジネスモデルを再考」と回答。米国と欧州ではそれぞれ3割ほどの回答となっており、日本では「ビジネスモデルの再考」がより重要視されていることがわかった。

さらに、「組織内コミュニケーションの透明性を高める」との回答が、日本では28.3%なのに対し、世界では17.8%と、日本ではコミュニケーションの透明性を重視していることが明らかとなった。

世界の共通課題は「新しい働き方の採用」

最後に、「新型コロナウイルスが企業経営の中で人的資本管理に与える長期的な影響や変化」を尋ねた。日本を含む世界で最も上位だったのは、より柔軟な労働時間勤務(時差勤務など)といった「新しい働き方を採用する」という回答だ。日本で2番目に重要視された「デジタルを活用した従業員管理を強化する」は、世界では12番目の結果に。

また、日本で重視されている「アジャイルなプロジェクトチームの結成により、仕事の進め方を再定義する」という回答は、世界でも上位の結果に。その他の特徴として日本では、労務管理を人的資本管理で重要視している一方、世界のCEOは、「在宅勤務・テレワーク勤務者の増加」を重要としていることがわかった。

日本のCEOは、自国の経済回復において悲観的な傾向にあるが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響において「変革の機会」と捉えているということが、今回の調査で明らかとなった。この先も断続的に続く可能性がある「新型コロナウイルス感染症の脅威」と経済活動を両立させるために、企業側、CEOは世界の動向を敏感にキャッチアップする必要があるかもしれない。


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